エヌフォーは、1993年よりUnicodeに取り組んで参りました。Unicode用のInput Methodとしての「UniFEP」は、早期より開発に着手しました。開発当初はAppleのNewtonプロダクト用FEPとして取り組み、16ビットUnicode向けに製品化されました。恐らく、UnicodeのFEPとしては一番早く製品化されたものと言えるでしょう。
この頃Newtonに於ける理想的なモバイルコンピューティング環境の構築を目標としており、これらはエヌフォー・メディア研究所で培ったノウハウによるものです。DTPに於ける日本語処理の弱点、ならびに問題点を解消する為に、エヌフォー・メディア研究所を設立しました。当初、開発に着手したものはUS版ポストスクリプトLevel 2 プリンタで日本語フォントを使用可能にする、画期的なソフトウェアでした。しかし、開発こそ終了したものの、誠に残念ながら製品化することが出来ませんでした。但し、そこでのノウハウをA&A社の「SweetJAM 7」開発に協力することで活かし、Macintoshで初めての画面上日本語アウトラインフォント環境を実現しました。その後、多方面に於ける高品質日本語フォントと外字に関わって参りました。エヌフォー・メディア研究所では、コンピュータの技術的な制限による日本語環境の妥協を払拭することをテーマにして参りました。主に旧漢字と呼ばれるJIS Level 1と2に含まれていない文字を、コンピュータで扱うことを可能にする技術を重要と考えております。
我々の考えとして、コンピュータとは無用な制限無しで、最初から役立つべき道具だと思っております。制限のなかでも特に言語と文化への強制的な枠を決め付けるべきではないと考えております。「対応していない文字は仕方ない」と諦めてしまうのは、決して理想的な姿ではないでしょう。UniFEPでは人名・地名やヨーロッパのアクセント付き文字などをなるべく表示出来る様に仕様を制定しております。但し、UniFEP V2はヨーロッパの文字を含んでいながらマシン本体のメモリー容量を考慮し、日本語の文字はJIS第一と第二水準、一部の旧漢字や記号、辞書のための部首の収録のみとなっております。最近のPCの方向性として、Apple社やAdobe社、Microsoft社もUnicodeを採用して日本語の文字セットを拡大してきました。EPOC用のUniFEPに於いてもマシン本体のメモリー制限が無くなり次第、日本語の文字セットを拡大して参ります。さらに、エヌフォーとしては、まだどこも採用していない「JIS X0213」の文字セットを、いち早くUniFEPで実現したいと考えております。
ここまでの話は日本向けソリューションとしてご説明致しました。しかし、我々の視野は日本だけではありません。電子情報デバイスは人と人との重要なコミュニケーションツールになっている時代であり、グローバル化に取り組むべきと考えております。電子情報デバイスは持ち歩くからこそ、場所を選ばずに役立つ道具でなければ意味がありません。モバイルという所有者と共に移動する道具は、旅行や出張の際、行く先々の各国の文字をサポートした方がいいでしょう。
UniFEPでUnicodeを採用した理由はそこにあります。これからのインフォメーション機器は、言語の枠、もしくは制限を無くしてくれるデバイスになって欲しいと思っております。UniFEPを用いることで一部不便があると思われておりますが、日本語に於ける旧漢字、さらに他言語に対応するために最初からUnicodeを採用しております。Newton向けにも開発を行いましたが、これからはEPOC向け日本語以外のソリューションも開発して参ります。目指す方向の具体例として、一つのデバイスで複数の言語が扱えることが挙げられます。中和辞書や韓和辞書などを同時に扱えるPDAはどこにも存在しません。ならびにWeb閲覧や電子メールにも同様のことが言えます。複数の言語の辞書、そして複数の言語が使用可能な通信機能が必要です。そういった意味では、現在のパソコンがやっと使えるようになって参りました。我々はその一歩先へ行く技術として、旅先や出張先で使える環境を目指し、UniFEPはユーザの皆様のために世界で一番賢く強力な環境へ進化することを誓います。